WordPress移行で怖いのは、引っ越し当日ではなく準備不足です

「サーバー代を下げたいけど、移行で問い合わせが止まるのは困ります」

山田さんのような個人店オーナーから見ると、WordPressからCloudflareへの移行は「安くなるなら早くやりたい」話に見えます。ここでいう移行は、WordPressで作ったホームページを、Cloudflare Pagesなどで軽く配れる形へ置き直すことです。静的サイトとは、見るだけのページを先に作っておき、アクセスのたびに裏側で重い処理をしないサイトのことです。

結論から言うと、移行で見るべき落とし穴は3つです。問い合わせフォームや予約などの「動く機能」、古いURLや画像の「道案内」、下書きや機密情報を外に出さない「安全確認」。この3つを先に分ければ、費用を下げる移行でも大きな事故を避けやすくなります。

WordPressからCloudflareへ移行する前に見る落とし穴3つ の全体像

落とし穴1:WordPressの「動く機能」がそのまま移らない

Cloudflare Pagesは、会社案内、料金表、アクセス、ブログのような静的ページに向いています。一方で、WordPressの中で動いていた問い合わせフォーム、予約フォーム、検索、会員ログイン、コメント機能は、そのまま静的ページにしても同じようには動きません。

フォームは先に逃がし先を決める

たとえば30ページの整体院HPを静的化するとします。トップページ、料金、施術メニュー、アクセス、ブログ記事25本は移しやすいです。ですが、問い合わせフォームだけは「送信先」「迷惑メール対策」「個人情報の保存場所」を別で考える必要があります。

小さな会社なら、最初は次のように分けるのが安全です。

| 機能 | 移行時の見方 | おすすめの逃がし先 | |---|---|---| | 会社案内・料金 | 静的ページ化しやすい | Cloudflare Pages | | ブログ | 静的ページ化しやすい | Cloudflare Pages | | 問い合わせ | 個人情報を扱う | LINE公式、メール、外部フォーム | | 予約 | 日時変更や通知が必要 | 既存予約サービス | | 会員ページ | 認証が必要 | Cloudflare Accessなど既成の認証 |

軽貨物の現場でも、常温の荷物と冷蔵の荷物を同じ扱いにすると事故になります。ホームページも同じで、「見るだけの情報」と「人の連絡先を預かる場所」を分けるだけで、移行の失敗はかなり減ります。

問い合わせや予約など「動く機能」の移行時の見方とLINE公式・予約サービス・既成認証への逃がし先一覧表

落とし穴2:URLと画像の道案内を後回しにする

移行でよくある失敗は、見た目はきれいに移ったのに、古いリンクから入ると404になることです。404は、ページが見つからない状態のことです。お客様が検索結果や古いSNS投稿から来た時に、目的のページへたどり着けないと機会損失になります。

10本の記事でもリダイレクト表を作る

たとえば古いWordPressの記事URLが /2024/05/menu/ で、新しいURLが /blog/menu/ になるなら、移行前に対応表を作ります。記事が10本でも、料金ページ、アクセス、問い合わせページを足すと、確認対象は15〜20URLくらいになります。

おすすめは、移行前にこの表を作ることです。

| 旧URL | 新URL | 優先度 | 確認 | |---|---|---|---| | /price/ | /price/ | 高 | 料金表なので必ず確認 | | /contact/ | LINE公式やメール導線へ | 高 | 個人情報を保存しない | | /2024/05/menu/ | /blog/menu/ | 中 | 検索流入があるなら確認 | | 画像URL | 新しい画像パス | 中 | 表示崩れを確認 |

Cloudflare Pagesにはリダイレクト用の仕組みがありますが、件数が多い場合は上限や管理方法を先に見た方が安全です。2026年6月1日時点の公式情報では、Pagesの制限としてファイル数、1ファイルサイズ、ビルド回数、リダイレクト数などが案内されています。大きなサイトほど「移してから考える」ではなく、先に棚卸しする方が楽です。

落とし穴3:プレビューURLと認証を軽く見る

移行中は、公開前の確認URLが生まれます。ここが意外と危ない場所です。まだ見せてはいけない料金表、社内メモ、制作途中のページ、顧客名が入った仮データを置くと、公開前のつもりでも外から見えることがあります。

下書き環境には本物の情報を置かない

Cloudflare Pagesのプレビュー公開は、設定しない限り外から見える前提で考えた方が安全です。公式ドキュメントでも、プレビューをCloudflare Accessで保護する設定が案内されています。さらにWorkersを使う構成では、wrangler.jsoncpreview_urlsfalse にする確認も必要です。

コマチWEBサポートで特に大事にしている線引きは、次の3つです。

  1. 顧客名簿、予約情報、未公開情報をコードやリポジトリに入れない
  2. 機密を扱う画面は、独自ログインではなくCloudflare Accessなど既成の認証に任せる
  3. APIキー、パスワード、トークンは環境変数に置き、ブラウザに送るJSへ埋め込まない

「まだ下書きだから大丈夫」と思う場所ほど、確認が甘くなります。配送でも仮置きした荷物に行き先メモが残っていると、あとで取り違えが起きます。移行作業でも、本番前の置き場所に本物の情報を入れないことが大事です。

下書き環境に置く前の安全確認5項目(名簿を入れない・既成認証・環境変数・プレビュー保護・preview_urlsをfalse)

移行前チェックは、技術より順番が大事です

WordPressからCloudflareへ移す時は、いきなり作業を始めるより、半日だけでも棚卸しする方が失敗しにくくなります。非エンジニアの経営者が確認するなら、次の順番で十分です。

移行前チェックの順番(残すページを決める→動く機能を別管理にする→戻せる状態を作る)の3ステップフロー

1. 残すページを決める

会社案内、料金、サービス、アクセス、よくある質問、ブログ記事などを一覧にします。古いキャンペーン、終了したサービス、重複した記事は、このタイミングで残すか見直します。

2. 動く機能を別管理にする

フォーム、予約、ログイン、決済、会員ページは、静的ページとは別にします。決済情報や会員情報を扱うなら、無理に自作せず、専門サービスやエンジニア相談を入れた方が安全です。

3. 戻せる状態を作る

移行当日に問題が出た時のために、旧サイトのバックアップ、DNSを戻す手順、公開前の確認リストを用意します。DNSは、ドメインをどのサーバーへ向けるかを決める住所変更のようなものです。ここを触る日は、問い合わせの少ない時間帯にするだけでも安心感が変わります。

参考にした公式情報は、次のページです。仕様は変わることがあるため、実際に移行する前には最新の公式ページを確認するのが安全です。

  • Cloudflare Pagesで静的WordPressを配信する手順: https://developers.cloudflare.com/pages/how-to/deploy-a-wordpress-site/
  • Cloudflare Pagesの制限: https://developers.cloudflare.com/pages/platform/limits/
  • Pages Functionsの料金: https://developers.cloudflare.com/pages/functions/pricing/
  • Pagesプレビュー公開の扱い: https://developers.cloudflare.com/pages/configuration/preview-deployments/
  • Workers Preview URLsの設定: https://developers.cloudflare.com/workers/configuration/previews/

まとめ:安くする前に、止めてはいけないものを分けましょう

WordPressからCloudflareへの移行は、表示の速さや運用費の見直しにつながる良い選択肢です。ただし、問い合わせ、予約、会員情報、下書きURLまで同じ感覚で扱うと、あとで困る可能性があります。

まずは「見るだけのページ」「人の情報を預かる場所」「公開前の確認場所」を分ける。次に旧URLと新URLの対応表を作る。最後に、戻せる手順を残してから移行する。この順番なら、技術に詳しくない経営者でも判断しやすくなります。

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💬 あきらの一言

私自身、コスト削減でサイトを移すお手伝いをよくしますが、いちばん怖いのは「安くなった」より先に「問い合わせが止まった」が起きることです。軽貨物の現場でも、ルートを変えて経費を下げたつもりが、荷物が一つ届かないだけで信頼を失います。サイトも同じで、止めてはいけない入り口(フォーム・電話・地図)を先に分けてから動くだけで、移行の事故はぐっと減ります。安さは大事ですが、その前に「止まると困るもの」を一緒に洗い出させてください。

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